2010年5月11日火曜日

しげくんの思い出。

しげくん(当時16歳)は、メンタルチャレンジの施設で、3年目に出会った子です。

ダウン症と、半身軽麻痺で、やっぱり、しゃべれない子でしたが、人間としての、基本的な、やりとりは、ほとんど、理解できている子でした。 それだけでなく、ものすごく、あたたかい、人の心の分かる、やさしい少年でした。

そのクラスは、15歳から25歳の、言語指示で動けるレベルの少年達のクラスでしたが、以前にも、書いた、私に、噛み付いたしゅんちゃん初め、こだわりの強い子、破壊行動のある子、あれると、自傷に走る子、沢山いるクラスでした。 ほぼ、9割りの子は、こちらの指示の内容は、理解できても、要求を、返したり、思いを伝えたりは、ほとんどできませんでした。。。

そんな中、しげくんは、誰かが、いらいらしてきたり、危ない感じになると、いち早く気づき、私たち職員に伝えようと、走ってきました。。時としては、自分が、噛み付かれたり、突き飛ばされたりしても、やり返さず、我慢して、私たちに、知らせに、走ってくるような子でした。 だれかが、具合が悪くなったり、物を壊したり、そいういう時も、いち早く気づき、知らせてくれました。。今思うと、言葉の無い彼が、あれだけ、複雑なことを、表情と、片手だけで、表現できたのも、おどろきですが、ちゃんと、こちらとのコミュニケーションが成り立っていました。

こんな良い子は、健常児の世界では、見たことがない!って、断言できるくらい、いい子でした。

時間もルールも守る。 担当のお掃除も、配膳も、片付けも、自分のベットメイクも、上がってきた洗濯物をたたみ、自分のたんすに片付けるのも、洗顔も、歯磨きも、そして日中の作業訓練も、お風呂に入るのも、全て、全て、教えたら、その通りに、そして毎日、キチンと、丁寧に、心を込めて繰り返しし続けられる子でした。 いう事を聞く、片手だけで。。 (だから、限界は、あって、手助け、ちょこっと、手直しは必要でしたが。。) 風邪引いて、鼻が詰まって、うまく息が出来なくて、熱が出はじめ、赤い顔になってきてても、何時もと同じように、物事に取り組もうとする、前向きな子でした。

親御さんにも、愛されていて、にきびだらけの顔で、鼻水たらし、半分いう事を聞かない口の、片方から、何時もよだれをたらし、汚れた服装をしてたけど、本当に、この上ない、素直で、純粋で、あったかい魂の持ち主でした。。

もう一人、ダウン症の、けんちゃんという子がいました。彼は、ばりばりのダウンちゃん特有の、めっちゃ頑固な男の子でした。。麻痺や、身体的な障害はなく、自分が、クラスで、一番のリーダーだと、自負してて、ちょっと、曲がった事や、間違い(と本人が思うこと)があると、動けなくなり、(居座り)固まって大変だったのですが、そんなけんちゃんのことも、しげくんは、理解して、そばに、暖かく、やさしいまなざしで、いつまでも、寄り添っているような子でした。。。

3年の勤務を終え、カナダに生活の拠点を動かすことにした私に、最後の、お誕生会 (毎月一回、その月のお誕生日の子を、ご家族を呼んで、祝う夕食会) の時に、参加していたしげくんの、おかあさんが、『先生、新しい世界で頑張ってね。』と、ホントに、響く暖かい言葉をかけてくれ、涙がでそうになったっけ。。。すてきなお母さんを持つ子でもありました。

たぶん、私が、生まれてから、今まで、生きてきた中で、出合った人間様の中で、一番、暖かく、美しい魂を持つ人間は、しげくんです。。。あんなに、汚れの無い、穢れのない、裏のない、純粋な魂は、彼以外の人に、宿っているのを見たことがありません。

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実は、この施設での生活以来、五体満足健常なのに、自分の身の回りの管理の出来ない人、汚れた洗濯物と、洗いあがった洋服を、一緒くたにしてしまうような人、基本的な、物の管理の出来ない、健常界の、大人が、許せない!?!性格になってしまいました。。。。。。とさ。 (私が許す、許さないの問題じゃぁ、ぜんぜんないんだけど。。。でも、正直、実際、結構、施設の子より、しつけのなってない大人が、世の中には、一杯いますです。よ。。) 

健常の世界に生きている人って、私を含め、歳とともに、汚れたり、穢れたり、ひねくれたりしがち。。。まっすぐ、素直に、ほんわか。。。生きたい~です。 (最近、つんつん、とげとげした自分の部分に、ぶちあたったので、なおさらぁ。。)

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